創薬開発事業のビジネスモデルについて①(リンク)では、ペプチドリームの3つの事業モデルについて説明させていただきました。
このうち、現在のペプチドリームの創薬開発事業の売上のメインを担っているのが共同研究と技術ライセンスです。
共同研究と技術ライセンスは、提携先から支払われる金額がペプチドリームの売上収益として計上されます。その売上収益については主に一時金・ロイヤルティーと研究開発支援金から構成されています。
ペプチドリームの収益の内訳については、決算短信の「収益の分解」という項目に記載されています。
たとえば2024年第3四半期については創薬開発事業の収益の分解は
- 契約一時金、マイルストーンフィー及びロイヤルティー収入: 287億円(収益全体の95%)
- 研究開発支援金: 10億円(収益全体の3%)
となっています。
契約一時金は、提携先との契約時に支払われる金額のことで、2024年については4月に発表したNovartis社との提携拡大による契約一時金が約280億円と、大半を占めました。
マイルストーンフィーというのは、成功報酬で、開発が一定のところまで進むことで支払われます。典型的なマイルストーンフィーの設定ポイントは以下の通りです。
開発マイルストーンフィー:臨床候補化合物の選定、フェーズ1試験の開始、フェーズ2試験の開始、フェーズ3試験の開始、承認取得
販売マイルストーンフィー:正味売上高が●●●億円を達成
など。(実際は契約ごとに多少ことなっていますが、代表的なものを書かせていただきました)
ロイヤルティーとは、成功報酬で、開発に成功し製品化されたのちに、製品の正味売上高の●%と設定されます。
いっぽう、研究開発支援金というのは、これも契約時に設定されるのですが、共同研究を行う対価として支払われるもので、共同研究を行っている期間を通じて一定額計上されます。
すなわち、提携先と契約した際に確実に支払われるのが契約一時金と研究開発支援金です。
マイルストーンフィーについては、イベントによって発生するため、いつ発生するかというのが予測しにくいというのがありますが、このようにさまざまな収益ポイントを設定することで結果的に総額で多額(※さきほど例にあげた2024/4のNovartis社との提携の総額は4,220億円にのぼります)の契約に両社が合意し、締結することができています。
これらの収益のうち、定常的に発生するのがロイヤルティーと研究開発支援金です。特にロイヤルティーは、医薬品が上市されたのちに販売されている期間中、継続して収益に貢献することが期待されます。創薬開発事業の収益は現状は一時金がメインであるために四半期ごとの差が大きく、収益がすくない期では赤字になるという現象が起きていますが、開発品が上市したのちは、安定した売上が計上されることが期待されます。
もう一つの事業モデルである自社創薬については、さまざまなパターンが考えられます。
まず、自分たちで臨床開発をすべて実施し、販売も行うことを目指しているケースです。放射性医薬品の国内販売などがこのケースにあたります。
また、開発のどこかのタイミングで共同開発またはライセンスアウトするというケースもあります。この場合、それ以降契約一時金・マイルストーンフィー・ロイヤルティーが設定されることを想定しています。ある程度まで自社でプログラムを育ててから提携を行うので、より高い経済条件が期待できます。

ペプチドリーム広報の沖本です
生命工学系の大学院を卒業後、出版社、証券会社をへて2020年にペプチドリームに入社しました。わかりやすくリリース内容や技術内容をお伝えしていきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。