Lilly社のアルツハイマー病治療薬であるdonanemab(ドナネマブ)が2024/7/2に米国で承認を取得しました。対象となるのは軽度認知障害などの初期的なアルツハイマー病の兆候を示し、脳内のアミロイドベータの蓄積が確認された患者さんです。
ドナネマブはアルツハイマー病の患者さんの脳内に異常に蓄積されたアミロイドベータのプラークを除去する作用があり、認知機能の低下の進行を遅らせることが期待されます。
フェーズ3試験において、認知機能を計測するiADRSという指標で、投与群がプラセボ群に比べて22%の改善が見られ、中でも、初期の患者さんでの改善度がより高かったということです。同時に、アミロイドプラークが1年間で80%減少したというデータも得られたということです。
ドナネマブと同様の薬剤として、2023/1に米国で承認された、エーザイ/Biogen社のLecanemab(レカネマブ)があります。ドナネマブの大きな特徴は、アミロイドベータが除去された際には投与を終了していいとされている点で、その結果投与回数を少なく、費用を低く抑えられる可能性があるということです。
日本においては、ドナネマブは承認されておらず2023/9に承認申請が行われました。レカネマブが日本において2023/12に承認された際に、PDRファーマのアミロイドベータのPETイメージング剤であるアミヴィッドも保険適用となりました。
アミヴィッドについてはこちらの記事をご覧ください。今後、アルツハイマー病の領域で新たな薬剤が発売されるなど患者さんにとって治療の選択肢が増えていくことを期待します。
参考:Lilly社プレスリリース