今月、CA9プログラム(PD-32766)の動物モデルの結果をAACR(米国がん学会)の年会で発表しました。
発表ポスターCA9プログラムは、ペプチドリームが自社で実施している放射性医薬品(RI)プログラムです。PDPSを用いて見出した、CA9に強く結合するペプチドに放射性物質を結合させたRI-PDCです。どの放射性物質を結合させるかで診断薬にも治療薬にも使える”セラノスティクス”化合物です。
CA9は淡明細胞型腎細胞がんの表面に多く発現している酵素で、正常細胞ではほとんど発現していないことから、腎細胞がんの標的として非常に優れているのではないかと考えています。
実際、マウスにヒトの腎細胞がんを移植したモデルを用いて調べた結果、177Lu-PD-32766をマウスに投与すると腫瘍の増大が抑えられるという結果が得られました。
また、PETを用いたイメージング試験により、PD-32766が腎臓に集積し、その後速やかに腎臓から代謝される様子を観察することができました。
まさに、狙った通りの結果が得られたことに強い手ごたえを感じています。
今後は、国立がん研究センターと協働し、今年前半にヒューマン・イメージング試験を開始する予定です。
このように、標的に結合するリガンドと放射性物質をつないだ薬剤は”放射性リガンド療法”として高い注目を集めています。ペプチドリームグループは標的に結合するリガンドとして最有力であるペプチド技術と放射性医薬品の開発・製造・販売を一気通貫で行うケイパビリティを併せ持ち、自社でRI医薬品開発を実施しています。
また、RI医薬品における豊富な経験から、この領域に関心の高いグローバル製薬企業との提携(Novartis社・BMS社・Lilly社・Genentech社)も実施しています。
今後の進捗にどうぞ期待していただけたらと思います。

ペプチドリーム広報の沖本です
生命工学系の大学院を卒業後、出版社、証券会社をへて2020年にペプチドリームに入社しました。わかりやすくリリース内容や技術内容をお伝えしていきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。