みなさま、こんにちは。IR広報部の沖本です。
最近、大手製薬企業の放射性医薬品に対する関心の高さを示すニュースがいくつかありましたのでご紹介させていただきます。
2023/10/3にEli Lilly社が放射性医薬品領域のPOINT Biopharma Globalを買収することについて合意したことを発表しました。POINT社はアクチニウム225やルテチウム177などの放射性核種を用いた治療薬を開発しており、前立腺がんの治療薬として開発しているPNT2002はフェーズ3試験を実施しています。Eli Lilly社のがん領域のトップであるJacob Van Naardenさん(Loxo@Lilly)は、「数年間にわたり、放射性医薬品ががんの患者さんに有用であることを見てきており、この新しいモダリティの可能性に期待している」と述べています。
また、昨日2023/11/7にNovartis社は日本における放射性リガンド療法の製造のために関連会社である日本チバガイギー篠山工場に1億ドルの投資を実施し製造施設を拡張することを発表しました。Novartis社は以前より放射性リガンド療法をがん領域での注力モダリティに位置付けており、2017年にAdvanced Accelerator Applications (AAA、トリプルエー)社、2018年にEndocyte社と、放射性医薬品企業の買収を複数実施していました。ペプチドリームとNovartis社はRI-PDC(放射性核種ーペプチド複合体)の領域で提携しており、2023/10には提携プログラムから開発候補化合物が選定され、GLP安全性試験を開始しました。ペプチドリームはこのイベントによりマイルストーンフィーを受領しました。
そして、RocheグループのGenentech社も2023/9にペプチドリームとRI-PDC領域での提携を実施しました。ペプチドリームのPDPS技術を活用し、ターゲットとなる細胞に選択的に放射性物質を運ぶためのペプチドを同定し、日本国外でGenentech社がRI-PDCとしての開発を進めます。
このように放射性医薬品に関心が集まっている背景としては、放射性核種を特定の細胞に選択的に運ぶ「キャリア」と組み合わせることによって従来の放射線治療より選択的にがん細胞を攻撃できるという認識が高まっているためです。
ペプチドリームの独自技術であるPDPSはターゲットに対して高い選択性を持つペプチドを選び出すことができます。従って、ペプチドリームのPDPS技術から生まれたペプチドはこの放射性核種の「キャリア」として理想的な性質を持っていると考えています。さらに、PDRファーマにおいて動物を用いた検証を行うことで、自社内でRI-PDCを創り出し、開発候補化合物としての絞り込みまで行える体制が整いました。
RI-PDCは技術的な優位性が活かせ、製薬企業からも関心が高い領域であるため、ペプチドリームの重点領域となっています。ぜひ今後の進展に期待していただきたいと思います。

ペプチドリーム広報の沖本です
生命工学系の大学院を卒業後、出版社、証券会社をへて2020年にペプチドリームに入社しました。わかりやすくリリース内容や技術内容をお伝えしていきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。