2023/11/1に自社での研究開発から創製された自社プログラム、PD-32766について、臨床入りに向けた準備を開始したことを発表しました。
リンクこれはペプチドに放射性核種を結合させたRI-PDCで、CAIX(CA9、シーエーナイン)という酵素をターゲットとしています。
CAIXは低酸素状態に応答して出てくる酵素で、腎細胞がんなど様々ながんで発現していることが知られています。
今回の開発候補化合物は、自社のRI-PDCプログラムとして初となるものです。
※開発が先行しているRI-PDCプログラムは以下の通り、パートナーと共同で開発を行っていました。
- PD-L1の診断薬 (BMS社との共同研究開発)
- GPC-3の治療薬/診断薬 (RayzeBio社との戦略的提携)
- Novartis社との共同研究開発
PD-32766は、ペプチドリームのペプチド創薬に関する研究開発チームとPDRファーマの放射性医薬品に関する研究開発チームが協働して見出したものです。
今後本格的に開発を進めるにあたり、開発候補化合物として絞り込みを行いました。今後臨床に向けた準備を進めていきます。
具体的には、
- 臨床試験を開始するためのIND申請に必要な前臨床試験(薬理や毒性の確認)・製剤検討の実施
- ヒューマン・イメージング試験の実施
を並行して進めたいと考えています。
ヒューマン・イメージング試験とは、少量の診断用の放射性医薬品を患者さんに投与し、体内の分布をみるという試験です。これは、放射性物質が非常に少量でも検出可能であるという性質を活かしています。ヒューマン・イメージング試験を行う最大のメリットは、薬剤が目的とするがんに運ばれているか、実際に臨床試験を実施する前に確認できるということです。放射性物質は複雑なメカニズムを経ず、物理的に細胞を破壊することによりがん細胞を殺傷しますので、薬剤ががんの病巣に運ばれていることが確認できると薬効の確実性が高まります。
今日のリリースは放射性医薬品事業を取得する際のシナジーとしてずっと想定してきたことであり、まず一つ目の候補化合物を選定できたという点は大きな一歩であると考えています。ペプチドリームではこれに続く自社プログラムの研究開発も進めています。

ペプチドリーム広報の沖本です
生命工学系の大学院を卒業後、出版社、証券会社をへて2020年にペプチドリームに入社しました。わかりやすくリリース内容や技術内容をお伝えしていきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。