みなさま、こんにちは。
本日、Novartis社とのペプチド創薬における提携拡大を発表しました(リンク)。
放射性核種とペプチドの複合体(RI-PDC)の分野を中心に、Novartis社が選定する標的に対してPDPSを用いた新たな環状ペプチドの創薬を実施します。

RI-PDCのイメージ:ペプチドに診断用途または治療用途の放射性核種を結合させています
Novartis社とは2019年にRI-PDCなどの共同研究開発に関する契約を行いました(リンク)。
共同研究は順調に進んでおり、昨年10月には開発候補化合物が選定され、GLP安全性試験が開始されました(リンク)。今般の提携拡大は、このような長年の提携関係における進捗が評価されたものであり、Novartis社の放射性リガンド療法に対するコミットメントを示していると考えています。契約一時金は180百万ドルとペプチドリームとして過去最高になりました。
放射性医薬品の領域は、下の表のとおり、昨年からメガファーマ・バイオの参入が相次いでいます。
このように次々と大手企業がこの領域に参入するのは、次世代の標的型の放射性医薬品が注目を集めているためです。この新たな治療法(放射性リガンド療法/RLT、RI内用療法などともいわれます)においては、体内に投与した放射性物質を(正常細胞への影響を最低限にし)標的とするがん細胞へいかに選択的に届けるかが重要なポイントです。
RI-PDCの仕組み
①RI-PDCを体内に投与
②がん細胞の表面に特異的に出ている標的に対してRI-PDCが選択的に結合
③放射線によりがん細胞の遺伝子が切断され、がん細胞が殺傷
ペプチドリームはPDPSというプラットフォーム技術を用いて標的に特異的に結合するペプチドを短期間に取得し、それを薬として最適化していくという経験を豊富に持っています。このペプチドはがん細胞へ放射性物質を選択的に運ぶキャリアとして最適なものであると考えています。
ペプチドリームはPDPSプラットフォーム技術をもとに2006年に創業され、2022年には放射性医薬品事業を富士フイルムから取得し、国内において放射性医薬品の研究開発・製造・販売を一気通貫で行うケイパビリティを持っています。次世代の標的型放射性医薬品はペプチドリームの最も注力している領域であり、パートナーとの提携または自社単独で開発を進めています。今後の提携や開発の進捗に注目頂けたらと思います。

ペプチドリーム広報の沖本です
生命工学系の大学院を卒業後、出版社、証券会社をへて2020年にペプチドリームに入社しました。わかりやすくリリース内容や技術内容をお伝えしていきたいと思いますのでよろしくお願いいたします。