みなさま、こんにちは。IR広報部の沖本です。
2023/7/25にアステラスとタンパク質分解誘導剤創出に向けた共同研究およびライセンス契約を締結しました。タンパク質分解誘導剤というのは、生体がもともと持っているタンパク質を分解する仕組みを利用してターゲットを分解することで疾患にアプローチするという新たな治療法です。
従来の薬剤は例えば“阻害剤”など、ターゲットに結合することでその機能をコントロールすることで効果を発揮するというものでした。特に、細胞内のターゲットに対してはターゲットの活性部位に入り込む低分子化合物を設計するアプローチが中心的です。しかし、このような方法では機能が十分にコントロールできないターゲットが多く存在し、そのようなターゲットは“undruggable”と言われ、薬の対象にするのが難しいとされてきました。
一方、生体内には不要になったタンパク質を分解するという仕組みがもともと備わっています。タンパク質分解誘導剤はターゲットをこの仕組みにのせるための“マーク”をつけることで分解を導くというものです。
代表的なものとしてユビキチン-プロテアソーム系を例に取ると、ユビキチンが不要になったタンパク質に付加されると、それが“マーク”となり、細胞内にあるプロテアソームという酵素複合体により分解されます。
タンパク質分解誘導剤はターゲットに結合するモジュールと、ユビキチンを付加するE3リガーゼという酵素と結合するモジュールの複合体となっており、ターゲットにユビキチンを付加することにより分解へ導きます。
PDPSを用いることでターゲットに対して非常に選択性の高いペプチドを創製することができるため、ペプチドリームでは従前よりタンパク質分解誘導剤に注目していました。今般、この領域で非常に高いケイパビリティを持つアステラスとの提携が実現し、両社の独自技術を用いた競争力の高いアプローチができるのではないかと非常に期待が高まります。