Environment 環境
基本方針
私たちは、地球環境の維持・保全の重要性を認識し、環境に配慮した事業活動を推進するとともに、事業活動におけるCO2排出量、電⼒や⽔の使⽤量等の環境パフォーマンスをモニタリングしています。主な環境パフォーマンスデータは外部調査機関による検証プロセスを経て、年次で情報開⽰しています。また、地球温暖化をはじめとする気候変動問題への対応を重要な経営課題として捉え、ペプチドリームグループとしての⾃社事業活動のカーボンニュートラル(⼆酸化炭素排出量実質ゼロ)に取り組んでいます。
気候変動対策・CO2排出量削減の取り組み
CO2排出量削減目標
ペプチドリームグループは、CO2排出量の削減・気候変動対策を重要な経営課題の一つとして認識しています。パリ協定に整合した1.5℃目標の達成に向けて、事業活動からのCO2排出量を2030年に実質ゼロとする目標を設定し、CO2排出量の削減に積極的に取り組んでいます。また、サプライチェーンでのCO2排出量の削減に向けて、2030年までに2023年対比で20%削減する目標を設定し、サプライヤーをはじめとするステークホルダーとともに取り組みを推進します。
ペプチドリームグループCO2排出量削減目標
再⽣可能エネルギーの導⼊開始
私たちの事業活動におけるCO2排出(Scope1+2)は主に電⼒消費に由来しており、これまで再⽣可能エネルギーへのシフトを積極的に推進する電⼒会社から電⼒供給を受けていました。カーボンニュートラルを実現するために、2022年1⽉より⾃社事業活動で使⽤する電⼒を実質CO2フリーとなる電⼒を導⼊しています。これにより、⾃社事業活動におけるカーボンニュートラル実現の中期⽬標を 4 年前倒しで達成しました。
TCFD推奨開示項目における取り組み
私たちは気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)による提言内容に基づき、2026年までの中期的な観点から気候変動が私たちの事業へ及ぼす影響について、リスクと機会の両面から評価を進めています。主なリスクや機会に対する対策を検討し中期経営計画に反映しています。
・ガバナンス
ペプチドリームでは環境に関するリスクを担当する取締役副社⻑CFOが、取締役会の諮問機関である「サステナビリティ・ガバナンス委員会」の委員を務め、気候関連課題も含めたペプチドリームのサステナビリティ戦略を実行・牽引する役割を担っています。取締役会においては気候変動を含むESG・サステナビリティに関する事項を報告事項に定め、ESG・サステナビリティに関する全社的な取り組み状況と課題について、担当役員から進捗報告を受け、モニタリングを行っています。また、年に4回開催されるサステナビリティ・ガバナンス委員会を通じて、環境関連情報・動向の継続的なモニタリングを行い、気候関連の目標の策定と適切な意思決定を行う体制となっています。この体制のもと、気候変動のリスクおよび機会については、取締役副社⻑CFOがサステナビリティ推進室・ESGタスクチームと連携し、リスクおよび機会を識別し、対応を行っています。
・リスク管理
ペプチドリームでは、全社的なリスク管理プロセスの一環として、経営管理担当取締役がリスク統括管理責任者として、想定されるリスクの評価・予防策の策定を行っています。気候関連を含む重要なビジネスリスクはサステナビリティ・ガバナンス委員会が中心となり、コンプライアンス・リスクマネジメント委員会と連携しながら、取締役会への報告を行っています。
・リスクと機会
移行シナリオは1.5℃から2℃シナリオ(IEA SDSおよびIEA NZE)、物理シナリオは4℃シナリオ(RCP8.5)を使用しています。
ペプチドリームは神奈川県川崎市川崎区殿町に事業活動や研究開発活動に関する設備・⼈員が集中しています。周辺を流れる多摩川で⽔害等の⾃然災害が発⽣した場合、当社設備の損壊、各種インフラの供給制限等の不測の事態が起きることが想定されます。対策として、社内に帰宅困難者⽤の退避スペースを確保し、3⽇分の⾷料・⽔を備蓄しています。また⾮常⽤電源は本社・研究所の屋上に設置しており定期的に安全衛⽣教育と避難訓練を⾏っています。
気候変動がもたらす気象パターンの変化により感染症のみならず呼吸器疾患、心臓疾患、メンタルヘルスの発生頻度が高まることから、創薬開発プラットフォームシステム:PDPSを用いた新薬共同研究開発ニーズが拡大し、収益に好影響を及ぼす可能性があります。当社のPDPSを⽤いた創薬の特徴は、病気の原因物質(原因タンパク質)が特定されれば、それを標的(ターゲットタンパク質)として数兆種類もの化合物ライブラリーから最適なヒット候補化合物を短期間で探索することができます。
・戦略
移行リスクと物理リスクに対する定量分析を進めており、その結果は2024年度中に開示予定です。
・指標と目標
私たちは気候変動への取り組みをマテリアリティのひとつに掲げています。 2022年1月には、ペプチドリームにおける自社事業活動で消費する電力を、実質的にCO2を排出しない再生可能エネルギーに100%切り替え、自社事業活動(Scope1+2)におけるカーボンニュートラルを実現しました。
本社・研究所社屋での環境および温暖化対策
私たちは2017年7⽉より下記の環境へ配慮した⾼エネルギー効率の新社屋で事業を運営しています。本社・研究所の社屋は、2016年2⽉15⽇に⾏われた、CASBEE (Comprehensive Assessment System for Built Environment Efficiency:建築環境総合性能評価システム)川崎-2015年版・実施設計段階評価において最⾼ランクの「S認定」を取得しました。
- 外装・窓の⾼断熱化
- 外装ルーバーによる⽇射熱負荷低減
- 全館LED照明
- 空調・昇降機は⾼効率機器を採⽤
- 半透明の膜ルーバーによる⽇射遮蔽と⾃然光利⽤の両⽴
©Shigeo Ogawa
外装ルーバー
LED照明
廃棄物の削減
分別廃棄の徹底とリサイクル率の向上
ペプチドリームでは、実験系および事業系廃棄物のリサイクルや減量のため、廃棄物の分別に関して指導を徹底し、分別表⽰をわかりやすく表⽰するなどの⼯夫を⾏い、廃棄物の分別の徹底に努めています。実験系および事業系廃棄物の処理を業者に委託しています。事業系廃棄物は適切に回収、無害化処理され、ゼロエミッション・マテリアルリサイクルに対応しています。また、2022年より廃棄物処理を委託する際のマニフェスト(産業廃棄物管理伝票)も適切に確認および管理をしています。
OA⽤紙の使⽤量削減
業務上でのOA⽤紙の使⽤を削減するため、様々な対策を推進しています。具体的には、E-Laboノートの導⼊、プリンター印刷における2-in-1および両⾯印刷のデフォルト設定、会議のペーパーレス化を推奨しています。また、グリーン購⼊法対応⽤紙の導⼊を進めています。
⽔資源の有効利⽤、⽔質汚染の防⽌
⽔使⽤量削減の取り組み
ペプチドリームの社内ポータルサイトにおいて毎⽇・毎⽉の⽔消費量を⾒える化し、環境に対する従業員の意識醸成を図っています。⽔使⽤量・排⽔量の削減のため、屋内空調での加湿の効率的な運⽤を進めています。また、節⽔型トイレおよび光触媒作⽤/セルフクリーニング効果のある外壁材の採⽤をしています。
⽔の品質確保
⽔質汚濁防⽌法、下⽔道法などの環境関連法、条例・協定を順守し、環境基準を満たす適切な排⽔処理を⾏っています。
排⽔の品質モニタリング:汚濁負荷量および環境汚染物質
ペプチドリームの設備からの排⽔が環境基準に適合していることを確認するため、⽣物化学的酸素要求量(BOD)、浮遊物質量 (SS)などを定期的に測定しています。
2022年に除害処理を⾏った排⽔の汚濁負荷量(年間排出量)における⽣物化学的酸素要求量(BOD)は28.1㎏、浮遊物質量(SS)は13.6㎏です。汚濁濃度(年間平均値)はBODが27mg/L、SSは16.5mg/Lであり基準値(それぞれ600mg/L未満)を大きく下回っております。
また、ペプチドリームの研究開発活動で使用している有機溶剤や重金属類は基準値以下であることを確認しております。
⽣物多様性への取り組み
私たちは⽣物の多様なつながりを認識し、事業活動が⽣態系や地域社会に及ぼす影響の把握に努めています。ペプチドリームでは社内取締役による監督のもと、バイオセーフティ委員会を運営し、実験計画の審議や関連業務に従事する従業員に対して安全教育を⾏っています。遺伝⼦組換え実験は、カルタヘナ法などの関連法規や国の指針等を遵守し、「川崎市バイオテクノロジーの適正な利⽤に関する指針」に従い実施しています。